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におい

数年前にボルネオ島(マレーシア側のサバ自治州)に行った。目的はキナバル山周辺のジャングルを2泊3日かけて歩き回るトレッキングツアーだ。ガイドは日本に留学経験のある地元の青年だったが、この彼がすごい

ジャングルではさまざまな野生動物──とくにボルネオでは、テングザルやキツネザル、コーカサスオオカブなどを見ることができるが、それらの動物がいる場所にゲストを案内するのが彼の仕事のひとつである
彼の他にも、補助に地元の若者が2~3人つくが、彼らはその彼ほど上手にサルを見つけることはできない。ほとんどのサルや動物は、ガイドの彼が見つけるのだ

サルどもは家族単位の小さな群で、高さ20mくらいの木で暮らしているのだが、これがまた枝や葉っぱにまぎれて見えるから、それだけでも普通の人間に見つけることはかなり難しい
しかも、人間がおいそれと見つけられるような都合の良い場所にいるわけではない

大抵は数十m離れた場所にいる。遠いから見かけ上では数cm、望遠レンズで引っ張ってようやくハッキリ見えるといったレベルだ
それを、もっと遠くから、あるいはサルの影も形もない地点からガイドの彼は望遠鏡などは使わずに見つけるのである。彼の視力が良いのは間違いないが、かなりの能力だ

試しにオレもサルを探してみた。ジャングルを歩きながら、ポイント、ポイントで、小休止しながらサルを探すのだが、オレは文字通り目を皿のようにして、サルのいそうな木を探した
そして、たった一度だけ、彼が探し出すより先にオレはサルを見つけた。50mほど先にある木の先端にサルはいた

「すごいですね!あなたはボルネオで暮らしていけますよ」と彼は、少し驚きの目を持ってオレを見る
お世辞半分だと思っていたら、素人が見つけることはあまりないらしい。これをきっかけに彼とうち解け、夜のキャンプでは色々と話をすることができた

どうやってサルを探すの? そのコツはいったいどこにあるの?と、聞くと、彼はひとこと「サルのニオイです」と言った
でたよ、おい。こいつ何言ってるの? ニオイ? そんなもんどこにあるんだ? ジャングルでは腐葉土と木の香りしかしないだろ?
「でも、サルのニオイがするんですよ」と彼は真顔で言う。だから、サルのニオイなんか分かるはずもない日本人のオレが、視覚だけでサルを見つけたことにちょっと驚いたというのだ(でも、偶然だから)

実はこの彼、ジャングルで暮らす山岳系住民の出身で、父親は狩猟などをしていたという。それも銃を使うのではなく、野生のサルを捕獲し、それを家で飼い慣らして果物や木の実を採らせていたというのだ
子供の頃からそういう生活をしていたから、サルに関しては普通の人間の想像を超えたレベルでの理解と認識が可能なのだとおっしゃる

たまげた。すげえ話だ

でも、五感をフルに使って獲物を探すことは、昔はどこの猟師でも当たり前にやっていたことだ。わずかに残る日本のマタギなどはその典型だろう
あるいは、空気の匂いで季節の変化を感じる、空の色や雲の様子で天気を予測する──こんな、情緒的に思える日本の古き良き習慣だって同じだと思う

そういった点で昔の人間は、今の人間より鋭敏で野性的で、優しく、生命力に満ちていた。自然と親しみ、自然を恐れることで、等身大の生き方をしていた
ところが、現代文明が生んだ便利さや快適さは、能力の増幅、あるいは労力の低減を実現し、人間に歓びを与えてきた反面、その分だけ確実に人間本来の能力を退化させ、あるいはその精神を変容させてしまったのではないだろうか

その結果、ささいな楽しみは楽しみではなく、小さな歓びは歓びでなくなった
そして、誰もがより大きな楽しさや歓びを追求することに欲望のエネルギーを燃やし、人間本来の謙虚さや優しさを忘れてしまった。今の世の中には、そんな事が理由だと思える事件ばかりがあふれている

サルを見つけちゃ大騒ぎし、花の色に感動し、空気の匂いで自分の生命を実感する、そんな程度の人間でいたほうが楽しいとオレは思っている
ところが、そういう生き方をするだけの覚悟もなければ、状況もそれを許さない。さらには、人間一人が生きていることだけで、どこかで何かを汚し、消失させているという事実がのしかかる

私たちはもう後には戻れない。彼はいつまでサルを探すことができるのだろう
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バカの幸福論

友人との会話
「いや、実はね、昔の彼女とよりを戻しそうでさぁ…」
「うー、なんだ、それ?」
「毎年、誕生日にちゃんとメールくれるんだけど、今年はお祝いしてくれるっていうから会って一緒に食事したんだよ。そしたらさ、すごく盛り上がっちゃって、ワイン2本空けてからカラオケいった後、彼女がいま住んでいるとこ行ってさ…」
「やっちまったわけ?」
「いや、そうじゃないんだよ。食事している時もそんな話が出たんだけど…つまり、やるとかやらないとかって話なんだけど、お互い考えている事が似ていてさ、本当にそう思わないなら、適当な気持ちでしない方がいいよねって」
「ああ、分かる分かる。後が空しいし、その最中も違う事を考えたりするしな。ましてや女はけっこう冷静になってたりする時があると思うよ」
「まさに、そういう事。“今夜してもいいけど、あたし仕事の事とか考えちゃいそう”って彼女は言ってたよ。オレにしても、自分の欲求だけで彼女を抱くのもなんだか違うなって思ってたんだよね。だから、しなかったんだけどね」

ちなみに男は47の×1子持ちで、彼女は30歳。彼女は銀座のおねーさんをしておりました。現在は女性実業家への準備中。奥菜 恵に似た感じの美人さんでございます

「大人だね~。なんて言うのかな…お互いを尊重するっていうか、尊敬する気持ちがあるかないかなんだろうな。それが判断基準みたいな?」
「そうそう、そうなんだよ~。久しぶりに彼女にあって、仕事とか色々と変化しているわけじゃん。そこで頑張っている彼女は昔より魅力的だし、なんか立派だな~と思ってさ。なんか、そこでガッついたら情けないってのもあるけど“この女とだったら、今しなくてもいいや”って思っちゃったんだよ」
「で、何もしなかったと」
「いや、チューだけはそこらじゅうでしてた。抱き合ったりして…すいません」
「街中で?」
「そう。銀座で」
「でたよ~。君たちバカップルだろ? 思いっきり盛り上がってんじゃん。知らね~よ、そんなの。勝手にやれば。ちくしょー、うらやましいなぁ」
「それでね、彼女んちいってさ、抱き合ったまま寝ちゃってさ」
「ゲゲ、それってある意味、するよりマズくない?」

「そーなんだよ…オレ、最近ちょっと疲れててさ。なんか彼女といたらほっとしちゃって。横に彼女が寝てるだけで、おだやかな気持ちになちゃって」
「君って、最低の男でしょ? でも、よく分かるよ、それ。幸せだよな…」
「昔もそういう事あったんだよね。気がついたら、彼女と抱き合ったまま寝ちゃってさ。それもソファでだぜ。ふたりで爆睡。ささやかな愛の思い出ってやつ(笑)。たぶん、疲れてるっていうより、日常的な緊張から解放された一瞬だよね。そういう愛に巡り会ったのか、予感なのか…でも、お互いがそういう気持ちじゃないと…」
「ありえないだろうなぁ…眠りってそういうもんじゃん? 男女の入口が食う。で、次がする。最後が寝る。オレの中じゃそういう順位だな」
「オレの場合、よほど解放されてるか、慣れてないと、女と一緒に寝て熟睡できないタイプ。どっかで緊張してんだよね」
「あ~、オマエはそういうタイプだよね。そういうところで線が細い」
「うるせえよ…」
「で、結局、そのささやかな幸せを持続するつもりなんでしょ?」
「そりゃそうだよ。こんなこと滅多にないと思うよ」

ちなみに、このバカップルは、付き合っていて別れたというより、付き合い始めに、仕事などの環境の変化で疎遠になっていたというのが正確なところです。つまり、なんとなく好きなままで止まっていた。そんな感じですかね。あるいは男の方が攻めなかったのか…

「でもさ~、ここからが大変だぜ。彼女みたいなタイプがそういう事を許すって、それなりの覚悟が必要でしょ? ここから品定めが始まるわけだし、あんたとしては、真剣勝負を懸けないと足元見られると言う事でしょ? だってさぁ、ここしばらくそんなに会ってなくて、その間にワンポイントで付き合った男の話とか、そいつとしたとかしないとか、あんたのやった女が何人だとか、そういう話までしてるわけでしょ。それで抱き合って寝られてもね~。あたしゃリアクションに困りますよ」
「いや、絶対に試されてると思う。ってか、強力に見守っているというか…じっくり“あんたと言う男を、見せてもらおうじゃないの”みたいな感じだろうな。それがまた、“やっぱり、しようかな~。してもいいよ?”とか言うわけよ。それって、絶対試してるって思わない?」
「そりゃあ、試してるでしょ。本当にそう思ったら、言葉より先にアクションでくるでしょ。でも、そう言った以上はOKって事だろう」
「まあ、そりゃそうなんですけどね。でも、オレもけっこう色々考えちゃうんだよね~」
「なんだかな~。オレ達、いくつになっても情けないまんまじゃん。これが今年47になろうという中年オヤジの実態なわけ?」
「バカだなぁ。だから、オマエとは友達でいられるんだよ」
「そうかも知れない…。オレ達って本当にクズだよな」

バカ全開

再び友人との会話

「いや、実はね、また彼女んちに泊まっちゃっいました…またしても銀座で飲み狂っちゃって、帰るつもりだったのにまた行ちゃった」
「はいはい、よかったね。それで?もちろん、やったんだろ?」
「いやまあ、さんざん語り合って“もう寝るかー”なんて感じでさぁ。もう、そんなつもり全然なくてさ。自分で不思議だよ。ああ、そう言えば、昔さぁオレが女と泊まって何もしなかったって言ったら、“お前、マヌケだな”って言ったよな~」
「オレだったら考えられないよ。何が何でも絶対したもん。それが当たり前だと思ってたし。ってか、やらないと女に悪いと思ってた。ほら、オレってさぁ、大学生の頃からそういうライフスタイルだったから、それが当たり前だと思ってたわけ」
「悪魔とか、人でなしって言われてたもんな。何人くらいやった?」
「うーん、200人はいってないかな」
「……お前、頭おかしいだろ?」
「そういうお前だって、人のこと言えないだろう」
「いやいやいやいや。オレは量より質だから。3ケタはいってないよ」
「えー、100人はいってるだろう?」
「君とは違います。自信を持って言うけど50人くらいだね。オレは基本的に
純愛指向だから。ざまぁみろ。オレはひとりの女を大事にするの」
「ふーん。それで逆上したサイコ女から、真夜中にガンガン電話がかかってくるわけだ(笑)」
「いや、まあ、そういうこともね。長い人生ではね、一度くらいは地雷も踏むさ(汗)」
「それはともかく、昨夜もまた抱き合って寝たと?」
「今回はね、寝る前にさ、足がジンジンするっていうから、足のマッサージをなんだかんだで2時間近くしてあげたんだよね」
「うわー。うわー。お前、完全に終わったな。そこにいっちゃったわけ?」

「いや、前にあんたが言ってたじゃない。例の離婚して復縁を迫ってきた彼女だっけ?その娘と付き合ってる時、いつも足を揉まされるって。オレ、その時は “こいつ、よくやるなー”って思ってたけど、相変わらずだねぇ」
「オレがマッサージ師だなんて、誰も知らない驚愕の事実だよ。オレ、愛の人だから(涙)。なんかしてあげたくなるわけですよ、これがまた。でも、途中から義務だけど。で、足の裏から揉み上げていくじゃない? で、臑から太もも、お尻、腰といくじゃない?」
「あーはいはい。股の付け根というか尻の下と、その上の座骨神経のところね
上に押し上げるように左右にグリグリしてか? あーいやらしい。開いたり閉じたりしてんの分かるしね。そのまま入れちゃったりして(笑)」
「お前、ほんと馬鹿だなー。いつも、そんなことばっかりしてたんだろ?」
「してねーよ! たまにしたけど…んで、ムラムラこなかったの、チミは?」
「あんまりこなかったなー。それよりも、彼女が気持ちよさそうにしているのがうれしくてさ。それしか考えてなかったよ。で、笑っちゃったのはさ、太ももの付け根って、リンパ節が集まってるじゃない? あそこのすぐそばっていうか? 」
「はいはい。ありますね。男でも気持ちよいですね」
「そこをぐいぐい押すわけだけど“真ん中はダメよ?”とか言って、両手で隠すわけ」
「なに! 全裸か!」

「違う違う。ちゃんと下着もスウェットも履いてるよ。でもね“なんか危なーい。むしゃぶりつきそうだもん”とかいうわけ。その姿がさ、ツタンカーメンみたいで“オレ達ものすごくマヌケだよね”って笑っちゃって」
「……君のこと殴ってもいいかな? 昔から馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど
お前ら本当の馬鹿だな。ついでに言うと、ツタンカーメンの手は、股じゃなくて胸だから。お願いだからもう話さないでくれる? なんか、すごーくイヤな気分なんだけど」
「で、“お望みとあらば、2時間くらい舐めてみましょうか?”“あら、たいへーん。あたし何回いっちゃうのかしら?”だって」
「もう死んでいいよ」
「本当にすいません(笑)。今、オレってけっこう幸せかもしれない」
「はいはい、よかった、よかった。で、朝までグーグー寝てたと。まったく、信じられねーな。で、いつになったらやるわけよ、君たちは?」
「たぶん、次とかじゃないの。その時は勝手にそうなるだろうし。ダメだったら、そのまんまかもしれないし。まあ、ここまでくると、どっちでもいいんだ」
「ほう、達観したね。まあ、コミュニケーションというか、ボディランゲージというか、そういう点では、するのも、足揉むのも大して変わんないもんなー。これが分かるヤツはそうそういないしな。そこまで経験してないと理解できないからなー」
「そうだね。さすが舐めダルマ親方ですな。分かってらっしゃる」
「誰が舐めダルマ親方だよ。そりゃお前だろ。マジに殺すぞ…」
「いやでもさー、男女の機微っていうの? ここまでくるとすべてが原点回帰って感じがするじゃん。なんてーの、本当の意味で基本を大事にできるとか、相手を女として尊重できるとか、すがすがしい重たさって言うのかな? そういう心境だよね」
「あんたも、ずいぶんやらかしたけど、いい男になったねー。ああ、そうそう、先週泊まった話。面白いから出会い系のブログに書いてやったぜ」
「マジっすか? マジ山マジの助?」
「今日の話も思くそ書いてやる。心配して損した、ふざけんなってさ。ってか、みんなうらやましいと思ってるよ。オレなんか殺意を抱いてるもん(笑)」

こどもの日

まあ、もうすぐゴールデンウィークなわけですが、そういや一年前のGWにオレは女性と会っていたりしたわけで、相手は足かけ5年間付き合っていた、昔の彼女。「楽しいデート」ってものとは全然違うんですけどね

彼女はオレに求婚したけど、オレが断ったので他の男と速攻で結婚したんですけどね。残念ながら5年の結婚生活は、ごく最近終わったと。で、「会おうよ」ときたもんだ
基本的にオレは過去の女性とは二度と会わないのがポリシーです。だけど、今回はちょいと事情が違うので会いました

別れて半年くらいで「あたし、結婚する事になった」(原文ママ)「そりゃおめでとう。よかったね」(原文ママ)と、いう極めて短いメールのやり取りをしたっきり、お互いまったく連絡なんかしてないし、少なくともオレ自身にはする気もなかった
それから4年経った、去年の夏に「元気? 最近、何してるの?」なんて突然メールがきたわけですよ。どうなんでしょうね~、普通だったら“よみがえるあの愛の日々”なんて事にもなりかねないのでしょうが、オレの中じゃビービーとアラートが鳴り始めたわけですよ

だって、「ダンナがうるさくあたしを束縛するので、離婚しようと思っている」なんてのたまうわけで“ああ、こりゃまた面倒くさい事になるな”と、感じたオレは、何のかんの理由を付けて会わなかった。もちろん、その後も連絡しませんでした
それが、今回またしてもやってきたと。「離婚したんだから、お祝いしてよ。GWヒマだし」 離婚祝いw うまい事を言うもんですね。それでオレも出かけた次第です

彼女は現在32歳で、小柄だけど川村ひかるっぽい美人です。外資系勤務、留学経験もあり英語もそこそこ堪能。社交的で派手好き。めちゃくちゃおモテになり、「男が途切れたことがない」と豪語するタイプ
最近は「洋服やアクセにはお金をかけなくなった」と言い、エステやマッサージに給料の半分を投入する勢い。プライド半端じゃなく高し。自他共に認める超女王様でスーパーわがままウーマン。目力なんか相当きつい

過当競争の中で、男はどいつもこいつも、ブンブン振り回されて全員玉砕w。その中で、最も貧乏で不細工だったオレが、なぜか勝ち残ってしまった。彼女が大学生の頃に知り合って、約5年も付き合っておりましたからそりゃあもう大変でしたよ。基本は「地獄で天国」状態ですね
お金も時間も体力も神経も、もうマキシマムですよ。やがて「このまま、この女と付き合って、結婚しても絶対生活は続けられない」と感じたわけですね。で、“戦略的婚前逃亡”となった。オレも自分の人生が大事ですから

いや、根は良い子なんですよ。同性にはめちゃくちゃ気を使うし、子供なんかにもすごく優しい。だけど、男には一切妥協もしなけりゃ、相手に甘えさせない。たまにいますね、こういうタイプ
ある意味、強烈に自分を押し通せる相手に対しては、精神的依存が強い。普段、それだけテンパッて、精神的エネルギーを使って生きているから、それを癒してくれるような、全面的に自分を受け入れてくれる男じゃないと心を開かないし、体も開きませんということですね。わかります

わかりますが、基本的に世の中の男女関係や人間関係は全部ギブ&テイクで成立しているわけですから、ワンウェイの無償の愛なんてのは、親子関係にしか存在しない。それすら、怪しくなっている今の世の中で、男女間の本当にピュアな無償の愛なんて滅多に存在しないんですね
でも、彼女はその無償の愛を求めていた。残念ながらオレは過去も現在も、そんなものは今のところ持ち合わせていない。相手を思いやる心は多少あるとは思いますがね

彼女には、男に対する思いやりが希薄でした。仮にそういう心はあっても、しないのか、できないのか、行為に現れない。言ってみりゃあ、その部分はとんでもない“お子様”なんですよ
しかも、典型的なメリット・テイカー=自己利益のみを追求する人なわけです。それが、社会に出て、結婚して、そして離婚して、ずいぶんと角が取れたし物分かりも良くなった。5年経って会ってみたら、昔よりイイ女になっている。オレもバカだから、ちょっとドキドキしちゃったりなんかして…

まあ、当時はすべてをぶん投げてでも付き合ったくらい好きな女だったから、結婚を迫られた時も、断腸の思いで断った部分はあったわけですよ。「結婚したら、必ず別れる事になる。そうなれば結果的に彼女を不幸にする。
オレにはうまくやれる自信も甲斐性もなかった」と、要するに逃げたわけです。それは同時に、オレにとって非常に大きな挫折でした。もっとも、オレは結婚していたわけで、最初から無理な話なんですけどね

その話をしたらいきなり泣かれました。銀座のど真ん中のレストランでね。「離婚はあんたのせいだ。あの時に甲斐性がなかった、あんたが悪いのよ」

ほえ?
あたすが悪いんですか? 
そりゃ今も立派な甲斐性無しですけどね、そりはちょっと違うような…

心の中で、にわかに黒雲が広がってまいりました
遠くの方でゴロゴロとカミナリの音も聞こえます

まあなんですか、困った事にどうにも話は「あたし達、また付き合う?」的な雰囲気に流れていくわけです
「あんたとダメだったから、安定を考えて“普通”の男と結婚したんだけど…
やっぱり、あんたみたいな男じゃないとダメなんだ」と、涙でアイラインを流しながら語る彼女。真実の瞬間です

その姿を見ながら、オレはグルグルと考えていました
「そりゃあ、そうだろ。オレだって死ぬほど大変だった」
「ダンナだった男も可哀想に。きっとガマンの日々だったんだろうな」
「あげくにこの女の方から離婚を切り出されて、踏んだり蹴ったりだな」
「でも、それは女を見る目がないからだ。人生経験が足りなかったね」
「結婚を断った時も、この女は泣いた。オレの前で泣くのはこれで三度目だ」
「もう一回は、借金が理由で追われていた友人を匿っていた時だ」
「すごくピュアな心を持っている。昔から可愛いかった」
「いや、そこにフォーカスするとヤバイ。現実は別だ。昔の失敗はそこだ」
「もう昔のようにはできない。昔のオレではない」
「こういう時の女の涙は、一番危険だ」

「でもさあ、オレと別れてからアッという間に結婚したよな。さすがだなと思ったよ。女の変わり身の早さだね。それで、オレも安心したんだけどさ…」
「当たり前じゃないの、あたしを誰だと思っているの? 昔ほどじゃないけど、言い寄ってくる男なんかいくらでもいるのよ」と、泣き笑いの顔で彼女。いつもの自信あふれる目の光が戻っています。「去年、離婚するってあんたに連絡した頃だって、付き合っている男がいたんだから」

ほ~れ、始まったぞ
こいつは昔からこうだったんだ

さっきの黒雲はすでに空一面に広がって、稲妻が光っています
ボタボタと大粒の雨が落ちてきました

よくよく話を聞いてみると、そいつの事がすごく好きだったと言うわけです。でも、最近になって自分から振ったと。別れたとおっしゃる。理由は、そいつが別れた前妻の事を引きずっていたからだと。
部屋に写真が貼ってあって、誰?と聞いたらごまかされたと。自分がナンバーワンじゃないのは絶対許せないと。そのくせ嫉妬深いのも気にくわないと。「まだその男が好きだけど、もう付き合えない。でも、あんたも好きなの。あんたが二番目で悪いと思ったから正直に言っとく」

いよいよ雨は土砂降り。そこらじゅうで落雷です

付き合っている女を部屋に呼ぶのに、前の女や妻の写真を貼っているなんて、なんてマヌケな野郎だ。しかも、その場しのぎでごまかしのウソを言うのは最悪だ。隠しきれないのなら、正々堂々と現実と戦え
その程度で見切りをつけた、こいつもこいつだ。それで一番好きが聞いてあきれる。しかも、よりによって次がこのオレってか。人をバカにするものいい加減にしろ。正直に言っただけマシだけど、こいつは何も変わっちゃいないな。いや、いけしゃあしゃあとしているあたりは、昔よりタチが悪くなっているじゃないか

「ま、そいつとハッキリ決着付けた方がいいんじゃない。それが最優先だろ。オレと付き合いたいなら、それなりの覚悟を決めなよ。もう昔のオレじゃないし、悪いけど昔のままのおまえとは付き合うつもりはないよ」
「それだったら無理じゃん。あたしは、あたしを変える気はないもの」
「知ってますぅ。だから、付き合えないって事になるわけですね」
「じゃあ友達からだったらいい?」
「おめーよぉ、そこらのガキじゃねえんだから勘弁してくれよ。ヤダよ」
「あたしの事、いまでも好きなんでしょ?」
「たったいまから嫌いになりますた(笑)」
「えー、そうなの…じゃ、しょうがないか。他の男、探すか」
「アッハッハッハ、変わり身の早さは、いつもながら見事だな。マジ怖いよ」

結局、彼女は何にも変わってなかったし、何も分かっていないようでした。男も、女も、どいつもこいつも覚悟が足りない、お子ちゃまばかりで困ります。まさに「こどもの日」というオチでございました
まあね、正直がっかりしましたよ。オレは哀しいです。昔、全力全開で付き合っていた女がこの程度だったとは
文字にしてみると、物事ってすごく客観的に見えるんですよ。だからこうして、思いきって自分の恥をさらしてみたんですけどね
酷いもんですね。最低の女だと思います。同時に女の究極だとも思えますね。そこんところが良かったんでしょうけどね

それと付き合っていた過去のオレも、のこのこ出かけていった現在のオレも大マヌケですね。まいりましたね。ま、過去の行いなんてこんなもんですよ。輝ける日々なんて、その時の錯覚だったりする場合もあるってことですな


だから、言ったじゃねぇか。別れた女と会うのはやめとけってさ
人生、後戻りはできないんだから、血反吐を吐いてでも前に進もうぜ

プロフィール

花畑きゅうり

Author:花畑きゅうり
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